アンスリウムは、赤く色づいた部分が魅力的な観葉植物ですが、「アンスリウムが赤くならない」と感じるケースもあります。
最初は赤かったのに、アンスリウムが赤から緑に変わってしまうことも少なくありません。また、花が咲かない、あるいは花の色が薄いままで悩んでいる方もいるでしょう。
このような変化には、日当たりや水やり、アンスリウムに適した肥料の使い方など、複数の管理要素が関係しています。この記事では、アンスリウムの発色や開花を改善するポイントをわかりやすく紹介します。
美しい姿を取り戻したい方は、ぜひチェックしてください。
- アンスリウムが赤くならない主な原因
- 発色を妨げる育て方や環境の問題
- 花が咲かない・色が薄い理由と対処法
- 肥料や水やり、日当たりの適切な管理方法
アンスリウムが赤くならないのはなぜ?

- 赤い部分が緑に変わってしまう理由
- 肥料の与えすぎが色づきに影響する
- 日当たりの悪さが発色を妨げることも
- 水やりのやり方が間違っている可能性
- 花が咲かないアンスリウムの共通点
- 花の色が薄くなる原因と対処法
赤い部分が緑に変わってしまう理由

アンスリウムの赤い部分が緑に変化する現象には、いくつかの自然な原因が考えられます。
まず前提として、赤く見えているのは花ではなく「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる葉の一種です。この部分は本来、花を目立たせるために赤く色づいていますが、環境の変化や株の老化によって緑色に戻ることがあります。
特に起こりやすいのは開花から時間が経過した場合です。アンスリウムは咲いた直後は鮮やかな赤色を保ちますが、花が終わりに近づくにつれて、仏炎苞の色が徐々に白っぽくなり、やがて緑色に変わります。これは自然な老化現象であり、植物がエネルギーの再利用を始めているサインです。
また、栄養不足や日照不足が続いた場合も、発色が不十分になり緑色に変わりやすくなります。そのため、適切な管理を行い、赤く保つための環境を整えることが重要です。
肥料の与えすぎが色づきに影響する
アンスリウムは繊細な植物で、肥料の量が多すぎると逆効果になることがあります。
特に問題となるのは、窒素(チッソ)成分の過剰です。窒素は葉を育てるためには重要ですが、これが多すぎると葉ばかりが成長し、花や仏炎苞が育ちにくくなる傾向があります。
また、栄養が過剰になることで、根がダメージを受けてしまうこともあります。これにより株全体が弱り、赤くなるどころか花が咲かなくなることもあるのです。
以下のような症状が見られる場合は、肥料の与えすぎを疑ってみましょう。
- 葉が異常に大きく、色が濃い
- 花芽がなかなか出てこない
- 仏炎苞が緑色のままで変化しない
このように、過剰な施肥は見た目には元気そうでも、花の形成や色づきに悪影響を与える点に注意が必要です。
肥料の使い方は植物ごとに異なるため、他の観葉植物のケースも参考になります。たとえばサンスベリアではどうか、気になる方はこちらをご覧ください。
→ サンスベリアに肥料は本当にいらないのか?正しい育て方と注意点
日当たりの悪さが発色を妨げることも

アンスリウムが赤くならない原因の一つに、日当たりの悪さがあります。植物の発色には光のエネルギーが欠かせません。特に、赤い仏炎苞を鮮やかに保つには、適度な日照が必要です。
ただし、アンスリウムは直射日光には弱い植物です。強い日差しに長時間さらすと、葉焼けを起こしてしまいます。そのため、「明るい日陰」や「レースカーテン越しの光」が適しています。
適切な日照を確保できないと、光合成が滞り、発色に必要な色素の生成も不十分になります。
また、暗い場所に置き続けると、新しい仏炎苞が出てこなかったり、色が薄くなったりすることがあります。光量不足が疑われる場合は、室内照明ではなく自然光が入る窓辺に移動することを検討しましょう。
水やりのやり方が間違っている可能性
アンスリウムの発色や花つきが悪くなる原因の一つに、水やりの方法そのものが間違っているケースがあります。これは「量」や「タイミング」だけでなく、「与え方の習慣」が影響している場合もあります。
- 表面が少し乾いた程度で毎日少しずつ水を足す
- 受け皿に水が溜まっていても放置する
- 朝夕の決まった時間に惰性で水を与える
これらは一見丁寧に思えますが、実際には根が常に湿った状態になり、酸素不足で根腐れを引き起こす原因になります。また、必要な時に十分な水が行き渡らないことで、花芽の形成にも影響が出てきます。
水やりは「定期的に与える」ものではなく、植物の状態や土の乾き具合を見ながら判断する行為と捉えることが大切です。
花が咲かないアンスリウムの共通点
アンスリウムの花がなかなか咲かないと感じた場合、いくつかの共通点に着目すると、原因が見えてくることがあります。多くの場合、植物にとっての生育環境が適していないことが根本的な理由です。
花が咲かないアンスリウムによく見られる特徴
- 根詰まり:鉢の中で根が密集し、成長スペースがない
- 日照不足:光合成が不十分で、エネルギーが足りない
- 肥料不足または過剰:栄養バランスが崩れている
- 寒すぎる環境:10℃以下の気温では成長が止まる
このような状況では、植物がまず葉や根を優先して育てるため、花芽の形成が後回しになります。生育期(春〜秋)に最適な温度・光・肥料が整っているかを、改めて見直してみると良いでしょう。
花の色が薄くなる原因と対処法
アンスリウムの花が咲いても、思ったより色が薄いと感じることがあります。この場合、花の健康状態や育成環境に問題があることが多いです。
- 日照不足:発色に必要な光量が足りない
- 肥料の偏り:リン酸不足、窒素過多などのバランス崩れ
- 水分過多:根が弱り、全体の代謝が落ちている
- 株が老化している:若い株のほうが色が鮮やか
対処法としては、まず日当たりを見直し、次に肥料をリン酸中心に切り替えることが効果的です。また、花が終わったあとは、花がらをこまめに取り除くことで、新しい花芽がつきやすくなり、色も濃く出やすくなります。
アンスリウムの花色や開花に悩むだけでなく、枯れの兆候が見られる場合は、以下の記事も参考になります。育て直すための具体的な方法を詳しく解説しています。
→ アンスリウムが枯れた原因と復活させるための正しい育て方を解説
アンスリウムが赤くならない時の対処法

- 花を赤くするための肥料の選び方
- 植え替えと株分けで環境をリセット
- 日差しを確保できる置き場所の工夫
- 適切な水やりのタイミングと頻度
- 剪定で新しい花芽を促すための方法
- 赤く育てるための元気な株の選び方
花を赤くするための肥料の選び方

花を赤く育てるためには、肥料の成分バランスと使用方法を見極めることが大切です。アンスリウムの場合、花の発色に必要なのはリン酸とカリウムであり、葉の生長を促す窒素はやや控えめにするのが理想です。
選ぶ際は、次のポイントを参考にするとよいでしょう。
項目 | おすすめの基準例 |
---|---|
成分比 | N:P:K=6:10:8 などリン酸多め |
形状 | 緩効性肥料(置き肥)または液体肥料 |
タイミング | 生育期(春〜秋)に月1〜2回 |
特に初心者には緩効性の置き肥タイプが扱いやすく、過剰に与えてしまうリスクも低くなります。冬場や休眠期は施肥を控え、花が咲きやすい春に向けて調整していくことが効果的です。
植え替えと株分けで環境をリセット
長く同じ鉢で育てているアンスリウムは、次第に土が固くなり、水はけや通気性が悪化する傾向があります。これにより、根が健康を保てず、花が咲きづらくなったり、発色が鈍くなったりすることがあります。
こうした問題を解決する方法として、植え替えと株分けによる環境リセットが有効です。特に以下のような兆候が見られる場合は、早めに対処しましょう。
- 鉢底から根が出ている
- 水が土にしみ込むのに時間がかかる
- 葉の元気がなく、花芽も出ていない
植え替えは1〜2年に1回、春〜初夏のタイミングが最適です。株分けをする場合は、それぞれの株にしっかり根と芽があるか確認し、清潔なハサミで丁寧に分けてください。
新しい土は水はけのよい配合(例:観葉植物用)を選び、植え替え後は数日間、水を控えめにして根の安定を待つようにします。環境を整えることが、アンスリウムの美しい花を咲かせる第一歩です。
アンスリウムに限らず、根の管理は観葉植物全体に共通する大切なポイントです。気根を持つモンステラの育て方も参考になります。
→ モンステラの気根はどうする?育て方のポイントと注意点
日差しを確保できる置き場所の工夫
アンスリウムにとって日当たりは大切ですが、直射日光は葉焼けの原因になるため注意が必要です。特に夏場の強い日差しにそのまま当てると、葉や仏炎苞(赤い部分)が茶色く変色してしまうこともあります。
こうした問題を避けつつ、必要な光を確保するには、明るいけれど直射日光の当たらない場所が理想的です。
レースカーテン越しの窓際や、北向きの明るい部屋が適しています。特に冬場は日照時間が短くなるため、日当たりの良い位置への移動も検討しましょう。
- 窓辺に置く際は遮光レースを活用する
- 季節ごとに置き場所を変える(例:夏は日陰、冬は窓際)
- 室内照明だけに頼らず、日光の入る時間帯を意識する
適度な日差しは、花の色づきや生育全体に良い影響を与えます。
適切な水やりのタイミングと頻度
アンスリウムに適した水やりの頻度は、季節や温度、設置場所によって大きく変わります。特に、タイミングがずれると根に負担がかかり、花や葉の健康を損なうことがあります。
季節ごとの基本的な水やりの目安は以下の通りです:
季節 | タイミングと頻度 |
---|---|
春〜秋 | 土の表面が乾いたらたっぷり与える(週1〜2回程度) |
冬 | 完全に乾いてから数日後に少量(10日に1回程度) |
水やりの際は、鉢底から水が流れるまでしっかりと与えた後、受け皿の水は必ず捨てるようにします。このひと手間が、根の健康と発色の安定につながります。
また、室内の湿度が高いときは頻度を減らすなど、環境に応じた調整も必要です。日々の観察をもとに水やりのリズムを作ることで、花色や成長に良い影響が出やすくなります。
剪定で新しい花芽を促すための方法

アンスリウムに新しい花芽をつけたいなら、不要な部分を取り除いて株のエネルギーを集中させることが効果的です。剪定はそのための手段であり、見た目を整えるだけでなく、次の開花を後押しする重要な作業です。
剪定の対象になるのは以下のような部分です。
- 枯れた花や茎
- 黄色く変色した葉
- 混み合って風通しを悪くしている葉
これらを根元に近い部分から切り取ることで、株の負担が軽減されます。また、株元の風通しが良くなることで病害虫の予防にもつながります。
ただし、新芽や若い葉を誤って切ってしまうと逆効果になるため、ハサミを入れる場所には注意しましょう。適切な剪定は、アンスリウムの開花サイクルを整えるためのサポートとなります。
赤く育てるための元気な株の選び方
これからアンスリウムを育て始める場合、最初に選ぶ株の健康状態が、その後の発色や開花に大きく影響します。すでに赤く咲いている花だけで判断するのではなく、葉の色や根の状態など全体をチェックすることが大切です。
- 葉が濃い緑色でツヤがあるか
- 葉先が茶色く枯れていないか
- 茎がぐらつかず、しっかり立っているか
- 鉢底から根があふれていないか(根詰まりの兆候)
また、株元に新芽が見られるものは、今後も成長が期待できるサインです。一方で、見た目がきれいでも、仏炎苞が変色していたり、葉に斑点があるものは避けたほうが無難です。
元気な株を選ぶことで、初心者でも管理しやすく、花色も安定して楽しめます。
まとめ:アンスリウムが赤くならないときに見直すべきポイント
この記事のポイントをまとめます。
- 仏炎苞は老化により自然と緑色に変わることがある
- 赤い部分は花ではなく葉の一種である仏炎苞である
- 肥料の窒素成分が多すぎると発色が妨げられる
- 栄養の過剰で根がダメージを受けると花が咲きにくくなる
- 葉が大きく色が濃い場合は肥料の与えすぎを疑うべき
- 弱い日当たりでは色素が十分に生成されず色づきが悪くなる
- 直射日光を避けつつ自然光が入る明るい場所に置く
- 毎日の水やりが習慣化すると根腐れのリスクが高まる
- 水は土の乾き具合を見てたっぷり与えるのが基本
- 根詰まりは花芽の形成を妨げる要因になる
- 室温が低すぎると生育が鈍り開花しにくくなる
- 花色が薄いときはリン酸不足や日照不足が関係する
- 花が終わったあとは花がらを取り除いて株をリフレッシュする
- 鉢の通気性や水はけが悪い場合は植え替えを検討する
- 健康な株を選ぶには葉と根の状態の確認が欠かせない
このあとも、観葉植物をうまく育てたい方に向けて、アンスリウム以外でも役立つ記事をご紹介します。お手入れのヒントや育て方の知識にぜひお役立てください。