オリーブの木を使った盆栽は、そのおしゃれでナチュラルな雰囲気から、室内インテリアや趣味の植物として人気が高まっています。ただ、いざ始めようと思っても、何から手をつければいいのか迷ってしまう方も多いかもしれません。
この記事では、初心者の方でもわかりやすく実践できるように、オリーブ盆栽の作り方を基礎から解説します。オリーブ盆栽に適した品種の選び方や、剪定の基本、使用する土の組み合わせなど、育成に必要なポイントを丁寧にご紹介しています。
さらに、幹を太く育てて力強い印象に仕上げる方法や、年輪を感じるような古木風の仕立て方についても詳しく触れています。盆栽としての完成度を高めたい方にも、役立つ情報が満載です。
オリーブ盆栽の魅力を引き出すために知っておきたい知識を、ひとつずつ確認していきましょう。
- オリーブ盆栽に適した品種や特徴
- 鉢や土の選び方とその理由
- 剪定や針金掛けなどの育成技法
- 幹を太くし古木風に仕立てる方法
初心者におすすめのオリーブ盆栽の作り方

- オリーブ盆栽とは?特徴と魅力を解説
- オリーブ盆栽に向いている品種の選び方
- 失敗しない鉢と土の選び方と組み合わせ方
- オリーブ盆栽の水やりと日当たり管理
- 剪定の基本と適切なタイミングとは
- 幹を太く育てるための育成テクニック
オリーブ盆栽とは?特徴と魅力を解説
オリーブ盆栽とは、地中海原産の常緑樹「オリーブの木」を小さな鉢に仕立て、樹形を整えながら楽しむ観賞植物のことです。一般的な松やもみじの盆栽とは異なり、洋風の雰囲気と軽やかさが魅力といえるでしょう。
このように言うと、「それはただの鉢植えでは?」と思うかもしれません。しかし、盆栽と鉢植えの違いは、作者の手によって枝ぶりや葉の配置まで意図的にデザインされている点にあります。つまり、自然を凝縮した“作品”としての要素が加わっているのです。
オリーブ盆栽の特徴は、何といってもその柔らかく風にそよぐような枝ぶりと、シルバーグリーンの小さな葉にあります。また、条件が整えば実をつけることもあり、季節ごとに違った表情を見せてくれます。
さらに、松のような和風の風格ではなく、リビングや洋室にもマッチしやすいデザイン性の高さがあり、インテリアとしても人気があります。一方で、葉が細かく折れやすいことや、成長スピードがやや遅めであることから、仕立てには丁寧さが求められる側面もあります。
このように、オリーブ盆栽はナチュラルでおしゃれな雰囲気を持ちつつも、奥深いアート性を楽しめる点が、多くの愛好家を惹きつけているのです。
オリーブ盆栽に向いている品種の選び方

オリーブ盆栽を成功させるためには、品種選びが非常に重要です。特に初心者の方は、管理のしやすさや枝の出方などを基準に品種を選ぶことで、失敗を防ぐことができます。
まず、盆栽に適している品種の条件には、以下のようなポイントがあります。
- 小葉性(葉が小さく、見た目が繊細に仕上がる)
- 枝が増えやすく、剪定に耐えやすい
- 耐寒性や病害虫への強さがある
- 樹形を作りやすく、曲げにも比較的対応できる
その中で、よく選ばれている品種としては「ネバディロ・ブランコ」「アルベキナ」「ピクアル」などがあります。とくにネバディロ・ブランコは小葉でありながら枝数も出やすく、盆栽仕立てに適しているため、入門用として人気があります。
一方で、実の収穫を重視したい方はアルベキナやピクアルなどの自家受粉性がある品種を選ぶのがおすすめです。ただし、実をつけさせるには環境と品種の相性が重要になるため、見た目重視の盆栽とは目的を分ける必要があります。
また、大きく育ちやすい品種や葉が大きいものは、剪定の頻度が増えたり見た目が粗くなったりするため、あまり盆栽向きとは言えません。育てたい姿や目的に応じて、慎重に選びましょう。
失敗しない鉢と土の選び方と組み合わせ方
オリーブ盆栽の育成において、鉢と土の選び方は非常に重要です。適切でない組み合わせを選んでしまうと、水はけが悪くなり、根腐れや成長不良を引き起こすリスクがあります。
ここではまず、鉢について見ていきましょう。オリーブは比較的根が張りやすく、水はけの良い環境を好みます。このため、鉢はやや深めで通気性・排水性に優れたものが適しています。いわゆる和鉢のような浅型よりも、洋鉢や素焼き鉢のような深さのあるものが向いているといえるでしょう。デザイン面でも、オリーブの持つナチュラルな雰囲気に調和しやすくなります。
次に土ですが、赤玉土(小粒)と軽石を「3:1」または「2:1」の割合で混ぜるのが一般的です。この組み合わせによって、保水性と排水性のバランスがとれた環境が整います。特に軽石は通気性を高め、根に酸素を届けやすくする効果があるため、盆栽向けの土として欠かせない要素です。
注意点としては、市販の観葉植物用の土や腐葉土を多く含む土壌を使ってしまうことです。これらは保水性が高すぎるため、盆栽には不向きです。また、鉢底には必ず鉢底ネットと軽石を敷き、根詰まりや排水不良を防ぐようにしましょう。
このように鉢と土はセットで考え、オリーブが快適に過ごせる「通気・排水・安定性」の3つを意識した選択が、盆栽を元気に育てるカギとなります。
オリーブ盆栽の水やりと日当たり管理
オリーブ盆栽を元気に育てるには、水やりと日当たりの管理がとても重要です。この2つを正しく行うことで、根が健やかに育ち、枝葉の状態も美しく保たれます。
まず水やりの基本ですが、オリーブは乾燥気味を好む植物です。鉢の土がしっかり乾いてから、鉢底から水が流れる程度にたっぷりと与えます。毎日水を与える必要はなく、春と秋は2~3日に1回、夏場は朝夕の1日2回、冬は1週間に1回程度が目安です。
ただし、乾燥の程度は地域の気候や鉢のサイズにもよるため、「表面が乾いたかどうか」だけで判断せず、指で土の中を触って確認すると失敗が少なくなります。
次に日当たりですが、オリーブは日光を好む性質を持っています。1日4時間以上は日光が当たる場所に置くのが理想的です。屋外で管理できる場合はベランダや庭先が最適ですが、室内に置く場合はできるだけ南向きの窓辺に置きましょう。日照が足りないと葉色が薄くなったり、枝が徒長しやすくなったりします。
一方、真夏の強い直射日光には注意が必要です。葉焼けを防ぐためには、真昼の時間帯だけ軽く遮光するか、日陰に移動させると安心です。
このように、「水をあげすぎないこと」と「しっかり日を当てること」のバランスを保つことで、オリーブ盆栽は健康で美しい姿を維持してくれます。
剪定の基本と適切なタイミングとは
オリーブ盆栽の形を整え、健やかに育てるためには剪定が欠かせません。見た目を美しく保つだけでなく、風通しを良くして病害虫を防ぐ効果もあるからです。
剪定には「強剪定」と「軽剪定」があり、それぞれの目的に応じて使い分ける必要があります。強剪定は枝数や樹形を大胆に整える作業で、主に休眠期である2〜3月に行います。一方、軽剪定は伸びすぎた枝を切って整える程度で、5月〜10月の生育期に行うのが一般的です。
ここで注意すべきは、剪定のしすぎです。新芽が出る前の時期に枝を落としすぎると、木に強いストレスがかかり成長が鈍ることがあります。また、夏の強い日差しのもとで剪定すると切り口が傷みやすくなるため、できれば午前中の涼しい時間帯に作業を済ませるとよいでしょう。
剪定で特に切るべき枝は次のとおりです。
- 内側に向かって伸びている枝(ふところ枝)
- 下に垂れ下がっている枝(下り枝)
- 枯れた枝や絡み合った枝
- 三つ又以上に分かれている場所の中央の枝
こうした不要な枝を取り除くことで、盆栽の見た目だけでなく、全体の健康状態も向上します。
また、他の植物でも似たような剪定や処理が必要なケースがあります。例えばモンステラでは、気根の扱い方に注意が必要です。
→ モンステラの気根はどうする?育て方のポイントと注意点
前述の通り、剪定によって生まれたスペースは光と風を通しやすくし、害虫の発生リスクを下げてくれます。
適切なタイミングで無理のない範囲で剪定を行えば、オリーブ盆栽は長く楽しめる存在になります。
幹を太く育てるための育成テクニック

オリーブ盆栽をより魅力的に見せたいなら、幹をしっかりと太く育てることが重要です。幹が細いままだと全体の印象が頼りなく見え、樹齢に比して幼く見える場合もあります。
幹を太くするには、主に以下の2つの方法が効果的です。
- 枝を伸ばしてから切り戻す
ある程度、枝や幹を自由に伸ばし、その後に剪定を行うことで、幹に栄養が集中し太くなります。これを「伸ばしてから縮める」といいます。見た目は一時的に不格好になりますが、長期的には効果的です。 - 根の剪定とバランスを取る
植え替え時に根を切ったら、上の枝も少し剪定してバランスを取ります。根と枝のバランスが崩れると、木が消耗しやすくなるため、幹の成長にも悪影響を与えます。
また、成長を促すために必要以上に肥料を与えると、枝ばかりが伸びてしまい、かえって幹は太くなりません。逆に、やや厳しい環境で育てる方が幹が締まり、力強さが出ることもあります。これは“スパルタ栽培”とも呼ばれ、あえて水やりの間隔をあけたり、肥料を控えたりする方法です。
ただし、木の状態を見極めずに過度なストレスをかけると枯れてしまうこともあるため、初心者は無理をしない範囲で実践するのが賢明です。
幹を太くするには時間がかかりますが、その分、盆栽としての完成度や存在感が格段に上がるため、じっくりと育てる価値があります。
幹を太くするテクニックに興味がある方は、ゴムの木の育成方法も参考になります。幹を力強く育てるためのヒントが欲しい方はこちらもチェックしてみてください。
→ ゴムの木の幹を太くしたい人必見!正しい育て方と管理のコツ
基本から学ぶオリーブ盆栽の作り方手順

- 鉢植えと植え替えの正しいやり方
- 針金掛けのコツと枝の曲げ方の基本
- 古木風に仕立てるオリーブ盆栽の育て方
- 剪定した枝で楽しむ挿し木の方法
- オリーブ盆栽の年間お手入れスケジュール
鉢植えと植え替えの正しいやり方

オリーブ盆栽を健やかに育てるためには、鉢植えの際の手順や、定期的な植え替えの作業が欠かせません。これらは根の健康に直結するため、怠ると見た目は元気でも内側で根詰まりや根腐れが進行してしまいます。
植え替えのタイミングは、2年に1回程度が目安です。特に春(4〜6月)や秋(9〜10月)は、気温が安定していて根の負担が少なく、植え替えには最適な季節といえます。
具体的な作業の流れは以下の通りです。
- 鉢から木を取り出す
根元を軽く押さえながらゆっくり引き抜きます。このとき無理に引っ張ると、根や枝を傷める可能性があるため注意が必要です。 - 古い土と根を整理する
外側の土を軽くほぐし、傷んでいる根や伸びすぎた根を剪定バサミでカットします。太い根よりも、細く新しい根を残す意識がポイントです。 - 新しい鉢に植え直す
底に鉢底ネットと軽石を敷き、赤玉土+軽石の配合土を3分の1ほど入れます。その後、木を配置して支柱や針金で固定し、周囲に土を丁寧に詰めていきます。 - たっぷりと水やりをする
植え替え後は、根と土が密着するようにたっぷり水を与えてください。
なお、植え替え直後の木は環境に敏感な状態のため、1週間ほどは直射日光を避け、風通しの良い半日陰で管理すると安心です。こうした丁寧な工程を心がけることで、長く楽しめる盆栽へと育てていくことができます。
針金掛けのコツと枝の曲げ方の基本

オリーブ盆栽に自然な流れや個性ある樹形を与えるには、針金掛けによる枝の曲げ作業が欠かせません。これにより、成長をコントロールしながら美しいフォルムを作り出すことが可能になります。
ただ単に針金を巻くだけでは不十分で、「どう曲げるか」「どこから曲げるか」という視点も非常に重要です。ここでは、失敗しにくい基本のやり方を紹介します。
- 針金の太さを選ぶ
曲げたい枝の太さの「約1/3~1/2」の針金を選びます。細すぎると固定できず、太すぎると枝を傷めてしまいます。 - 針金の巻き始めはしっかりと固定する
針金の先端を鉢土に斜めに刺す、もしくは根元の幹に軽く巻きつけて安定させます。 - 等間隔で緩やかに巻きつける
針金は枝に対して約45度の角度を保ちながら、同じ間隔で均等に巻きます。急なテンションをかけると枝が折れやすくなるため、優しく巻くのがポイントです。 - 少しずつ角度をつけて曲げる
両手で枝の上下を支え、少しずつ方向を調整します。曲げたい方向に一気に力をかけず、徐々に時間をかけて形を整えていくと失敗が少なくなります。 - 針金を外すタイミングを見極める
目安は針金を巻いてから3〜6か月。食い込みが始まる前に外し、再度必要に応じて巻き直します。
なお、針金を巻くのは10月以降の落ち着いた季節が望ましく、夏場は樹液の流れが活発なため枝が傷みやすくなります。枝の見せたいラインをイメージしながら曲げていくことで、より完成度の高い作品に仕上がります。
他の植物でも枝の曲げ方に興味がある方は、パキラの枝を曲げるコツを解説したこちらの記事も参考になります。
→ パキラの曲げ方をマスターしてインテリアに映える形に仕立てる方法
古木風に仕立てるオリーブ盆栽の育て方
オリーブ盆栽をさらに魅力的に見せたい方には、「古木風」の仕立てが非常におすすめです。幹に年輪を感じさせるような風格が出ることで、作品としての深みが増します。
ただし、若木をすぐに古木のように見せることはできません。ここでは、古木風に見せるための工夫と管理のコツをご紹介します。
- 剪定を繰り返して樹形を縮める
枝をただ伸ばすのではなく、あえて切り戻すことで、節の詰まったコンパクトな形になります。短くても力強い枝ぶりが、年数を重ねた印象につながります。 - 幹に凹凸を作る
あえて枝を間引き、日光が幹に当たるようにすることで、幹肌が硬くなり荒れた質感になってきます。水分を控えめにし、過保護にしすぎない管理も有効です。 - 自然風の樹形を意識する
不規則に曲がった幹や枝の流れ、途中で枯れたような枝の残し方など、自然の中にある老木の姿を観察しながら形を作るとリアリティが増します。 - 苔や風合いのある鉢を活用する
足元に苔を貼ったり、土表面に年季の入った石を置くことで、樹齢の長さを視覚的に演出できます。鉢も、あえてくすんだ色味やざらつきのある素材を選ぶと調和が取れます。
古木風仕立てには数年単位の育成と観察が必要ですが、その分、仕上がったときの満足感は大きなものになります。若木のままでも「時間を味方につける」楽しみ方があるという点で、長く付き合える盆栽としておすすめです。
剪定した枝で楽しむ挿し木の方法

オリーブ盆栽の剪定で生じた枝を活用し、挿し木で新たな苗を育てる方法をご紹介します。この手法は、剪定後の枝を再利用し、盆栽の数を増やすのに適しています。
ここでは、基本的な挿し木の手順を4ステップでご紹介します。
挿し木の基本手順
- 枝の選定: 健康で若い枝を選びます。
- 切り口の処理: 斜めにカットし、発根促進剤を塗布します。
- 植え付け: 湿らせた挿し木用の土に挿します。
- 管理: 直射日光を避け、湿度を保ちながら管理します。
注意点
- 挿し木は春から初夏が適しています。
- 発根には数週間から数ヶ月かかることがあります。
- 成功率を上げるため、複数の挿し木を行うことをおすすめします。
挿し木は、剪定後の枝を有効活用し、盆栽を増やす方法として有効です。適切な手順と管理で、新たなオリーブ盆栽を育ててみましょう。
オリーブ盆栽の年間お手入れスケジュール
オリーブ盆栽を健康に育てるためには、年間を通じた適切なお手入れが必要です。季節ごとの作業を把握し、計画的に管理しましょう。
春(3月〜5月)
- 新芽の成長を促すため、適度な水やりと肥料を施します。
- 病害虫の予防として、葉の状態を定期的に確認します。
夏(6月〜8月)
- 水切れに注意し、朝夕の涼しい時間帯に水やりを行います。
- 直射日光を避け、半日陰で管理します。
秋(9月〜11月)
- 剪定を行い、形を整えます。
- 肥料を控えめにし、冬に備えた準備をします。
冬(12月〜2月)
- 寒さから守るため、室内や風の当たらない場所で管理します。
- 水やりは控えめにし、根腐れを防ぎます。
年間を通じた計画的なお手入れにより、オリーブ盆栽は健康に育ち、美しい姿を保ちます。季節ごとの作業を意識し、丁寧に管理しましょう。
まとめ:オリーブ盆栽の作り方を総合的に学ぶポイント
この記事のポイントをまとめます。
- オリーブ盆栽は洋風の雰囲気を楽しめる観賞植物
- 自然をデザインする芸術性が鉢植えとの違い
- 小葉性で枝が出やすい品種が盆栽向き
- 初心者にはネバディロ・ブランコなどが育てやすい
- 水はけの良い深鉢と赤玉土+軽石の土が基本
- 水やりは土が乾いてから鉢底から流れるまで与える
- 日当たりは1日4時間以上の直射日光が理想
- 真夏は葉焼け防止のため軽く遮光する
- 剪定は強剪定と軽剪定を時期に応じて使い分ける
- 不要枝を整理することで通風と見た目が良くなる
- 幹を太らせるには枝を伸ばしてから切り戻すのが効果的
- 根と枝のバランスを保つことで健康な幹が育つ
- 植え替えは2年に1回、春か秋に行うのが適切
- 針金は枝の1/3〜1/2の太さを選んで等間隔に巻く
- 古木風に仕立てるには剪定と管理を長期的に行う必要がある
オリーブ盆栽の育て方をきっかけに、他の観葉植物についても興味がわいてきた方へ。樹形のアレンジや日常管理に役立つ情報を、以下の記事でも詳しく解説しています。室内グリーンをより魅力的に育てたい方は、ぜひあわせてご覧ください。